「ハルチカ」

3月に入って、春がそこかしこに感じられるようになりました。皆さんの気分も春風に乗って上昇気流真っ只中、ではないかと思われます。

私は昨日、映画「ハルチカ」を見てきました。前から見たいと思っていたので、公開初日に早速出かけてきました。主演の勝利くんのファンでもあるのですが、吹奏楽がテーマであったことが一番の理由です。

私は中学時代、吹奏楽部でクラリネットを吹いていました。小6の時、友達に連れられて、吹奏楽部の演奏を初めて聞いた時、とても感動して、中学に行ったら、絶対、吹奏楽部に入ろうと思いました。

大きい部でしたから、1、2年時は先輩の影で適当にやっていましたが、3年生になる前、隣でSクラ(クラリネットより小さいもの)を吹いていた子が転校してしまい、私がSクラにまわることとなりました。

また、吹奏楽専門の音楽の先生が転出され、後任の先生は、まったく吹奏楽経験がありませんでした。名門の部活で、毎年関東大会にも出場していましたが、今年はどうなるんだろう、とみんなの間で焦りが募っていきました。

指導にきてくれていた大学生の先輩に指揮をお願いすることになり、本格的に夏休みの最後にあるコンクールの練習を開始しました。夏休み中は連日、朝から夕方まで部活があり、帰ってからも河原で一人で練習しました。クラリネットって、下手をすると「キーッ」という音が出てしまい、これが目立つんです。この恐怖感を克服しなければ、自分の演奏などできません。そのためには練習あるのみ、でした。

映画の中で、コンクールのステージが出てくるのですが、指揮者がタクトを振る瞬間、タイムスリップしました。照明に照らされながら、指揮者に全神経を集中させていた時の私がよみがえりました。

30年以上も前のことで、あの日のことは、あれ以来一度も思い出していなかったのに、鮮明に思い出されました。みんなのこと、その楽器を吹いていた一人ひとりの姿、合奏していた音楽室、理科室の裏で一人で練習していたこと、意識もしなかったけれど、コンクール出場に向けて、みんなが心をひとつにして、奏でていたあのハーモニー・・・それは、本当に美しくかけがえのないものだった。それを今、教えてもらったんです。

私の心が浄化されて、あのときのことを、宝物だった、と思える私になったから、この映画に出会えたような気がします。映画を見ながら、涙が止まりませんでした。超感動!ってわけでもないのですよ。周りの人たちは、泣いてる様子ではなかったし。私は当時の自分のこと、周りのみんなのこと、そういうことを思い出して泣いていたんです。

幸せだったんだ、と思いました。青春だったんだ、と今、わかりました。つらく悲しかった思い出も見てあげて癒してあげる必要があるのと同じくらい、幸せだった思い出も見てあげる必要があったのです。

人生の荒波にもまれていく自分の姿など、そこにはかけらも見えません。ただ目の前のことに一生懸命取り組んでいる私がいました。頼りなげではあるけれど、何て美しいんだと思いました。愛おしくて抱きしめてあげたい、と思いました。

コンクールの結果は、あと数点で銀賞になり、関東大会には行けませんでした。みんな、泣いていましたが、私はやり切った感の方が強かったです。だから、高校へ行ってからも吹奏楽を続ける気はありませんでした。

吹奏楽の合奏って、オーケストラにはない魅力があります。管楽器とパーカッションだけで構成される音色は特別です。私にとっては、中学時代そのものかもしれません。一日たっても、感動冷めやらずです。「音楽って、やっぱり素晴らしい!」この一言に尽きます。

 

庭に福寿草の花が咲きました。