腸内細菌を味方にしよう

老化のスピードを決める第1のカギはAGEでした。では第2のカギは・・・「活性酸素」の発生量をおさえることです。活性酸素は非常に酸化力の強い体内物質で、細胞をさびさせ、劣化させていきます。

腸内細菌は活性酸素を消す、強力な抗酸化力をもつことがわかってきました。腸内細菌は種類も個体数も多い時に働きを活性化させ、抗酸化力を高めます。

藤田先生は、薄毛は遺伝より生活習慣の要素の方が大きいと考えておられます。この考え方を「エピジェネティクス」(後天的遺伝子制御変化)といいます。生まれつき持っている遺伝情報は後天的な生活環境や習慣によって修飾され、個体レベルの形成が変わってくるということです。

アカゲザルを使った実験で、30%のカロリー制限を一日もかかさず行ってきたサルは、20年たっても(寿命約26年)、毛がフサフサでつやがあり、皮膚も張りがあって、若々しさを保っていました。「腹八分目」の食事法は大事な条件の一つです。

腸と頭皮は遠い存在のように感じますが、もとは一つの受精卵から始まり、同じ遺伝子を持っています。藤田先生は腸と免疫学の研究者であり、腸を元気にすることが最も重要なことであると長年訴えてこられました。

人の体の始まりは腸にあります。腸はすべての臓器の源であり、母なる腸が他の臓器を生み出していくための原動力となったのが腸内細菌です。

地球ができた約46億年前、宇宙線などの放射線が強く降り注いでいました。地上に早い段階で誕生した細菌や酵母、カビなどの原始生命体には、放射線に強い耐性が備わっていました。この耐性こそが、抗酸化力です。

放射線を浴びると、生命体の中では活性酸素が生じます。抗酸化力を備えることで、活性酸素に対応してきたのです。人間の体にも抗酸化力は備わっていますが、約20歳をピークに低下します。かわりに、体を守ってくれるのが、腸内細菌です。

腸内細菌は良いエサを食べていると水素を発生させます。酸素は水素と結びつくと水となります。過剰発生する活性酸素に対して、水素を発生させることで、消し去ってくれるのです。

このエサというのが、食物繊維です。

水溶性の食物繊維は、海藻類、インゲン豆、小豆、大豆、ひよこ豆、エンドウ豆、エシャロット、ニンニク、ゴボウ、キャベツ、アボカド、梅干し、コンニャクなどに豊富です。

不溶性の食物繊維も、食べ物のカスが残って腐敗菌が増殖するのをおさえてくれる働きがあります。水溶性のところであげた豆類、おから、納豆、モロヘイヤ、オクラなどのネバネバ食材、シソやパセリ、ニラなどの香味野菜、キノコ類、乾物などに多く含まれます。

さらに発酵食品を食べることも腸を元気にしてくれます。納豆、味噌、ぬか漬け、チーズ、ヨーグルトなど。口から入った発酵菌は胃で死んでしまうものもいますが、死んでも腸に届けば、腸内細菌を活性化してくれます。

もう一つ大事なことは、何でもアルコール除菌することは腸内細菌にダメージを与えます。腸内の日和見菌の大半は土壌菌の仲間です。その菌が適度に腸に入ることで腸内細菌は活性化します。身の回りにいる菌は味方なのです。