タグ別アーカイブ: 本

地球/母なる星

もう20年ほど前のことになります。ロンドンを訪れた時、本屋さんでとても素敵な本を見つけました。でも、たいへん大きく重くスーツケースに入りそうもなかったため、買うことは諦めました。日本に帰ってからその本が日本語版で出ているのを見つけたため、購入しました。「地球/母なる星」というタイトルの写真集です。

宇宙飛行士が見た地球の荘厳と宇宙の神秘という副題がついています。裏表紙に月の地平線から昇る地球の姿が載っていて、エドガーミッチェルという宇宙飛行士の言葉が添えられています。

earth

「これは頭だけで理解したことではない。これは違うぞ、という非常に深い本能的な思いが腹の底から突然こみ上げてきたのだ。

地球という青白い惑星がかなたに浮かぶのを目にし、それが太陽を廻っていると考えたとき、その太陽が漆黒のビロードのような宇宙の遠景に沈むのを見守ったとき、知識として理解するのではなく、宇宙の流れやエネルギーや時間や空間には目的があることを肌で感じた。そして、それが人間の知的理解を超えていると悟った。そのとき不意に、それまでの経験や理性を超越した直感による理解が存在することに思い至った。

この宇宙には、行き当たりばったりで秩序も目的も無い分子集団の運動だけでは説明のつかない、なにかがあるように思われる。地球へ帰還の途中、24万マイルの空間を通して星を見つめ、振り返って今向かいつつある母なる星、地球を眺めたとき、宇宙には知性と愛情と調和があることを私は身をもって知ったのである。」

地上から見た宇宙は、無数の美しい星の散らばった神秘的な憧れに満ちた世界です。いったい何があるんだろう、と思って旅立ってみれば、そこには深い愛が満ちていることに気づくのだそうです。

人はどこからやってきて、どこに行くのか、死を迎えて、肉体がなくなったらすべては消えてなくなるのか。私はなぜ、今ここでこうしているのか、私のしていることの意味は・・・など、すべての答えは、頭で理解する知識ではない腹の底からこみ上げてくる本能的な思いの中にあるのだと思います。

人間としてどう生きるべきか、例えば、人を憎んだり、うらんだりしてはいけないとか、物事を明るく前向きにとらえた方がいいとかいったことは、そうしなければいけないのではなく、そうした方が自分自身にとって幸福なことであり、自分が幸福であるなら、その周りにいる人もきっと幸福であり、その幸福感というものは愛情と調和に満ちていて、それこそが宇宙の摂理そのものなのではないかと思うのです。

宇宙の大きさが無限のように、心というものも目には見えず、私の中にあるようでもあり、そうではないような気もして、実は宇宙と同じくらい無限なのではないではないかと思います。毎日の生活を送る中には辛いことや、しなければならない細かいことがたくさんあって忘れてしまっているけれど、人間は本来もっと大きい宇宙的存在なのではないかと思います。

たまには、自分を解放し、心身ともにリラックスして、そんなことを考えてみるのもいいんじゃないでしょうか。

「地球/母なる星」小学館より
文責/三枝 一江