「聖なるホワイトライオン」のご報告

この前の日曜日、「聖なるホワイトライオン」の講演会に行ってきました。ホワイトライオンは、一頭、800万円もの値がつく、ハンターたちにとって、格好の獲物とされています。

捕獲され、人工的に繁殖させられ、それをまた狩猟区域に放ち、ハンティングされます。そして、はく製にされ、個人の自慢の所有物となります。

このような世界が存在することは、私たちの日常生活からは、あまりにもかけ離れていて、あえて、こういった機会でもないと、思考に上ってくることさえ、ありません。

私は、どんなに考えても、こういう行為のできる人間の心理は理解できません。人間でありながら、私とは全く別の種のように感じます。

講演の中で、「肉食を続けていて、思いやりの心など、育つのだろうか」というお話がありました。

私が読んだ『いのちをいただく』という本の中で、食肉センターの職員の方が屠殺される前の牛に語りかけます。みいちゃんという名前の牛です。

「みいちゃんが肉になってくれないと、みんなが困るから・・・。じっとしておれよ。じっとしておれば、急所をはずさないから、苦しまなくてすむからね。」そう言って、体をさすってやりました。そうしたら、みいちゃんの目から、涙がこぼれました。そのセンターの方も、牛が涙を流すのを見たのは初めてでした。

屠殺される時、本能的に、危険を察知して、牛は大暴れするので、急所をはずし、銃で撃たれた後、命が尽きるまで、長い間苦しむそうです。

みいちゃんは、ちっとも動きませんでした。職員の方の話をちゃんとわかっていたんです。納得はしていなかったかもしれませんが、運命を受け入れました。たぶん、育ててくれた人たちへの愛からだったと思います。だから、みいちゃんは、撃たれた後、ばたっと倒れ、苦しむことなく、命を終えました。

この本はお子さんでも、すぐに読める短い話です。私は、読む度に泣いてしまいます。今でも、時に、出された食事にお肉が入っている時は、本当に、その牛にありったけの愛で感謝していただきます。ベジタリアンですが、私のために、命を落としてまで、ここに来てくれたことを思うと、残すことはできません。

動物だけでなく、植物も、鳥も、虫も、魚も、バクテリアも、ウイルスもみな、私たちとつながって、今、地球の上に存在しています。どれかが、どれかより優れていることなどありません。すべてが、その命を輝かせて生きています。

目に見えるところでも、目に見えないところでも、私たち人間は彼らの恩恵を受け、愛をもらっています。そのことに思いをはせる心だけが必要なんです。その心があれば、今、ここに存在する自分自身がどれほどの恵みをいただきながら、生きているのかを感じることができます。

ただ、生きているだけで、すべての存在が尊く、その生命の調和の中に、私もあなたも、います。

『いのちをいただく』西日本新聞社発行 参照